チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

チャプレン日記‐ホスピス(シアトル)2016-現在

一人ぼっちの死

Mさんは29歳の黒人女性 2年前に 白血病と診断され、 ここ2か月前から急激に病状が悪化してホスピスケアを受け始められた 自分の病気は深刻なものだと伝えても、 兄弟たちは受け止めてくれず、 「気持ちの持ちようで何とかなるのだから」と言って あまり、…

元気な姿を記憶に残したい

Nさんは86歳の黒人男性。 アルツハイマーの末期でホスピスケアを受けられている 長年、教会の牧師として、神と人に仕えてこられた 奥さんも結婚して60年以上 一緒に教会で共に奉仕をされてこられたという 奥さんは、穏やかな話し方で ご主人のNさんがいつ亡…

もう一度 飛びたい

84歳の白人男性、Hさんはカクシャクとした紳士という感じの方 複雑な心臓病で独居ができないほどに病気が進み、 そのうえアルツハイマーの症状も出てきたこともあって、 東海岸から シアトルの娘ケイトさんの家に身を寄せられた そして、間もなく医者からホ…

さようなら、Aさん

Aさんは 89歳のフィリピン人男性 若いころフィリピンでは戦後ということもあって、 大変苦労をされ、貧困な生活をされていた 「ちゃんとした靴さえなく、ほとんど裸足だったんだよ」 と当時のことを話してくださった 19歳で、同い年の奥さんと結婚され 5人の…

今日は、詩を紹介 ひとつ 私が死んだその時 君のもとに戻ってくる努力をするよ できるだけ速く。 そんなに時間はかからないと約束する。 私の死んでいく瞬間瞬間、 もうすでに私は君と一緒にいるのは真実だろう? 君のもとに戻ってくる すべての瞬間に。 見…

それぞれの送りかた

ティームの看護士ミッシーからメールがあり、 「Jさんがチャプレンと話がしたいと言われているので連絡して」 とのことだった Jさんは、ホスピスケア―を受け始められた際、 スピリチュアルケアは必要ありませんと チャプレンの訪問を断られていたため 一度…

Covid 19 ワクチン接種

医療関係者ということで、 Covid 19のワクチン接種の1回目が 12月31日、 そして2回目を今回受けた (モデルナ) 1回目の時は、 接種を受けた腕のところが痛く、腕を上げにくかったくらいで 他にはそれといった症状はでなかった ところが! 2回目を受けた後、…

隠された信仰

今日、新しくホスピスケア―を受けられることになった 患者さんのJさんとその奥さんのお宅を訪問させていただいた。 Jさんは90歳の白人男性でアルツハイマーの末期と診断された 奥さんと老人用アパートに住まわれている 所せましと様々な思い出の品々を飾った…

楽しい訪問

アメリカでは、ケアを必要とする老人のホーム: アダルト・ファミリー・ホームというものが 多い 普通の大きめの一軒家を州の規定に合わせて改造し、 6人のご老人まで受け入れることができ、 24時間の介護ケアを行っている 大きな老人ホームと違って アット…

Cさんの使命感

患者のCさんは 60代前半の白人女性。 全身ガンでホスピスのケアーを受けられている 60歳以上のものだけが入居できるアパートで独居 彼女はガリガリに痩せて弱っておられるけれど、 自分のアパートでは歩行もできるし、 ちょっとしたものなら 料理したりもす…

Nさん

Nさんは 小柄な67歳のインド人男性 心臓病の末期でホスピス・ケアを受けられている インド人と言っても、インド出身ではなく、フィジー島の出身 その昔、フィジーがイギリスの植民地だったころ 奴隷として多くのインド人が移住させられたらしい 私もアメリカ…

Jさんの闘病

Jさんは 87歳の白人男性 とても紳士で物腰のやさしい方だ Jさんと奥さんは結婚して約60年 お子さんのいないこのご夫婦は 二人とも自分の仕事を持ち、忙しく充実した人生をすごされてきた 広大な庭のある大きな家に住み 老後といえども、それぞれに自営業で自…

Aさん、100歳おめでとう

今日は ホスピス患者のAさんについて書こうと思う Aさんは9月のはじめに100歳の誕生日を迎えられた 2年前に脳梗塞を起こされ、入退院を繰り返しておられたが、 数か月前から、自宅での療養を決心され、 これ以上体に負担のかかる前向きな治療はやめることに…

IDG ミーティング

今日は、IDG ミーティングについて書いてみようと思う IDとは Interdisciplinary(インターディシプリナリー)の略で 学際的と訳されるようだ Gは グループのこと 日本にもあるとは思うのだが何というのだろうか? 知っている人教えてください もう少し詳し…

Lさんの苦しみ

Lさんは70代後半の白人女性 御主人と共に 小さな湖の湖畔にある家で2人暮らし。 3人の子供を育て、自立させた後は、二人で老後を楽しむ人生を計画しておられた ところが、60を超えたころに白血病を患い、この十数年闘病を続けてこられた そして、2か月前に …

Sさんのこと

Sさんは 若干53歳の白人男性 骨のガンが数年前に見つかり、さまざまな治療を受けるも 体中に転移し、半年前にこれ以上の治療法はないと医者から言われ、 在宅ホスピスのケアを受けられている 軍人上がりで、空軍に属し、特殊部隊で南米に派遣されていた その…

Nさんの死

ホスピスのチャプレンとなって丸2年 はじめっから担当していた患者のNさんが 10月半ばに亡くなられた アメリカは 日本とは違っているようで、ガン以外の患者さんでも 余命6ヶ月と確定されれば、どんな病気でもホスピスのケアを受けることができる Nさんは 80…

Fさんの息子ジミーさん

今日はFさんについて書こうと思う Fさんは 92歳のフィリピン人女性 骨髄の病気で 余命宣告を受け、在宅ホスピスのケアを受けられた 彼女は20代そこそこで 戦争花嫁として かなり年上のフィリピン系アメリカ人男性と結婚するため、アメリカに来られた 美容師…

Vさんのケア

数か月間 ブログを放置してしまった 久しぶりに開けてみたら、記事の書き方も忘れてしまっている・・・トホホ 今日は、Vさんについて書こうと思う Vさんは 90歳の黒人女性 心臓疾患の末期症状でホスピスのケアに入られた Vさんは南部の州で生まれ育ち、高校…

はじめての コンベンション

はじめてAPC(Association of Professional Chaplains) の会議に参加した今年の会議は フロリダ州のオーランドで 6月20-23日に開催されているディズニーワールドのあるところだ全米から約600人のチャプレンが3日間にわたって 共に学びの時を持った4回の全…

看護士・スー

ホスピス・チヤプレンとして 4つのチームと組んで仕事をしているチームの中心は、看護士、ソーシャルワーカー、チャプレン、ホスピス補助の4人でこの4人が日ごろのケア―を行っているこのチームを取り巻く ホスピスのスタッフは医師、薬剤師、作業療法士、…

姉妹の和解

70代の女性患者Sさんは、がんの末期でホスピスケアを受けられることになった Sさんは 親から受け継いだという小さく古い自宅でケアを受けられた その家は シアトルの美しいピュージェット湾を望むところに立っている Sさんの窓から見えるピュージェット湾は…

神のミラクルがほしい

アフリカの某国から延命治療を求めてシアトルに滞在していた23歳の女性Mさん 13歳のころからめずらしいガンに侵され闘病していた この10年間、普通の少女らしい生活もできずに 最新の医療を受けるため、シアトルにいる親せきを頼って借家に住んでいた 外国に…

カンファレンス

ホスピス・チャプレンの仕事のことも 書きたいと思いながらなかなか時間がない! 今日は カンファレンスについて書いてみようと思う 患者F さんは 70代半ばの男性 末期のガンで 治療を続けられていたが もう見込みがないということで 治療を断念し、自宅での…

ホスピスのオリエンテーション

シアトルのホスピスに転職して2週間がたった ところがまだ仕事はしていない。 いまだにオリエンテーション訓練を受けているのだ オリエンテーションを受けさせてもらえるとは聞いていたけれど、 それがなんと6週間もあるとは驚いた これまで最初の2週間は パ…

転職

10月に転職 ホスピス専門のチャプレンとして働くことになった 今の職場はこれまで自分で築き上げてきたところも多く なごり惜しい気持ちもある 人間関係にも恵まれたし、患者さんたちのお役にも立てたと思う この環境でずっと働き続けるものと 思っていた と…

Kさん・62歳

Kさんは 62歳の男性 若い頃から心臓の持病と闘いながら生きて来られた 1年半前に 短期のリハビリで入院されたのだけれど、 思うように改善されず、ケアーが必要な状態になり、 自立生活ができるまで、歩行訓練などのリハビリをしながら 私の働く施設で生活さ…

夫婦の愛情

先週、夜中の1時半に電話が鳴って起こされた 職場の看護士からの電話で 患者のPさんが亡くなられたので来てくださいという連絡 私はチャプレンとして24時間体制をとっており、 特に患者さんの死亡に関しては 個人的に無理だという事情がない限り 1時間以内に…

生きることの意味

93歳の女性Mさんが リハビリのユニットに来られて、 2か月になろうとしている もともと自宅で介護ヘルパーの援助を受けながら 一人暮らしをされていたのだが、 転倒による骨折の手術後、リハビリに来られている ところが、年齢がいかれていることもあり、 な…

秋の気配

1週間ぶりに 職場に戻ってみたらば、 何人かの患者さんたちが とても喜んでくださった 「リア~! やっと戻って来てくれたか~! 寂しかったよ」 「僕のチャプレン、リア。どこに行っていたの?」 「休暇って知らなかったから、心配してしまったよ」 それぞ…