チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

あたって砕けろ!!


今日、すごく嬉しいことがあった。
9月からの仕事が決まったのだ。
予期していなかったので、非常に驚いている。

決まったのは ポートランドの軍人病院のチャプレン・フェローのポジション
国の補助金でできた5人限定の1年間プログラムのポジションだ

(ここから長くなるので、興味のない人は 飛ばしてください!)


実は1ヶ月ほど前から色々なところに履歴書を出していた
現在はこの近辺には望む仕事がないため、シアトルやサクラメントなど4軒
雇ってくれるのなら移動もやむなし

ところが、どこからも何の連絡も来ないので、がっかりしていたのだった

そんなときにポートランドの軍病院から電話があった。
ここは1月に履歴書を出していたのだが、とうに忘れかけていた

「夏のインターンのポジションに履歴書を出しておられましたね。
「あなたのように レジデント1年やって来た人が、
なぜ、いまさら3ヶ月のインターンをやりたいんですか?
1年間のフェローのポジションに興味はありませんか?」 聞かれたのだ

フェローなんて、そんなポジション自体があることすら聞いたことも無かった
どんな仕事なのか資料を送ってくださいと頼んだ

Eメールで送られてきた資料を読むと、聞いたことも無いはずだ
このポジションは アメリカ全国で3つの病院でしかやっていないもので
国の補助金でまかなわれているプログラムだったのだ

ホスピスなど狭い専門的な分野のチャプレンを養成するプログラムで
将来は ホスピスを希望している私にとっては興味がある!

3日ぐらい夫と相談したりして 病院に返信メールをしたときから
ちょっとへんなことになってきた・・・・・・

私「先日、いただいた資料を読ませていただき、興味をもちましたので、
履歴書等の応募をしたいのですが、方法をお知らせください。
論文の提出について詳しく知りたいです。」

P氏「ポジションは ほぼ埋まりかけています」

私 「それでは、もう履歴書を受け付けていただけないということですか?」

P氏「そうとは言いませんが、決まりかけています。
大体、なぜそちらに資料を送ったのかわからない。
あなたのように資格のない人に 資料を送ってしまったのは、
何かのまちがいでした。
レジデントを1年やった人でないと採用しないと決まっているのです」

このメールをもらって、カチンときた
あちらから もちかけておいて、私の資格がないとは!!
もともと軍病院はすごく倍率が高くて 入れないのはわかってるけど、
だからといって、あちらの態度にはちょっと腹が立つではないか!

どちみちダメならダメもとで、きちんと対話してみようじゃないか!

腹は立ったけれど、メールは冷静に、しかし的確に・・・

私「そちら様は、なにか私の履歴書について誤解されているようです。
私は ○○大学院を5月卒業予定で、レジデントして1年、
その前にはインターンも1期やっています。
それで、そちらの方から フェローの話をされたのであって、
私はそれまで その存在すら知らなかったのです。
もう、ポジションが埋まっているのなら、別ですが、
もう一度、私の履歴書をご確認の上、ご返答ください。」

そして、捨て台詞のように、

「私の夫はもと軍人で、7年前にALSで病死しました。
なので、余計に軍病院のホスピスには興味をもったので申し込んでいます」

心の中では、『あなた失礼ね!』という気持ちを込めて
文章は やわらかさのない、実務的な味のない内容だ

P氏「あなたのことを 他の人と混同していたことがわかりました。
指摘してくれてありがとう。」

私 「それでも、可能性があるのか、どちらですか? 
無ければないで、教えてください」

P氏 「資格があることが確認できましたので、それでは面接をしましょう。
今週の水か木、それとも来週の水・木の午後1時で
そちらの都合のいいほうで」

私 「今週は無理ですので、来週の木でお願いします」

1日のうちの数回のメールのやり取りで 面接が決まった
なんだか「このうるさい女のしつこいメールから逃れるためには
早い内に面接をして、不合格にでもしなければ メール攻めに遭う」
とでも思っているのだろうかという印象

なんだか、こっちがねじ伏せた観があって、後味が悪い・・・・
でも、あちらがプロフェッショナルな対応をしなかったからこうなったのよ!

そんなこんなで、今日が面接日だった

夫のアドバイスで 「軍病院のホームページをよく読んで予習」もした
「面接の30分前に コーヒーを飲んで 落ち着き、カフェインを脳に入れると
頭の回転が良くなって 面接や試験がよくできるからね」というのも 実践した

これからたくさん受けるであろう面接のよい練習なのだと思って臨んだ

P氏は時間通りに現れると フェロープログラムについて説明し始めた
こちらは 色々質問されるとばかり思っていたが、ほとんど無しだ。
最初のころに、1年間レジデントで最も得たことについて聞かれただけ。

P氏の話は、これから仕事を始める人に向かっての説明のように聞える・・・・
人柄は気さくで、この道40年のチャプレンだが、話せるおじさん。

「はは~、こういう人だから、あの誤解やメールは、単なるミスで
悪気のない人なんだ・・・」

それにしても説明は止まらない。

1時間ほどして説明が終わり、質問はあるかと聞かれた。

こちらの面接では、雇ってくれと言うだけでなく、
同等な立場に立って、雇う側のことを聞くものだ

あらかじめ用意していた質問を3つほどした
「あなたの監督スタイルは どんなものですか?」
「アジア女性が軍病院でチャプレンとして働くことの利点についてどう思いますか」

雇われる側も、入りたいかどうかは こちらで決める自由がある。
気の利いた質問をして 一緒に仕事をしたいと思う上司かどうか見るためだ

「時間をとって面接していただき ありがとうございました。
とても興味のある内容で、私が目指しているものに近いものがあります。
それで、合否の結果は、いつごろ、どのようにしていただけるのですか?」
と聞くと、

P氏「あなたは、もう雇うと決めているんですよ」と笑顔。

私 「え? 本当に? こんなに簡単に?」

P氏 「このプログラムでやりたいんでしょう?」

私 「もちろんです。」(だって、説明を聞いたら、すごくやってみたかった!)

P氏 「だったら 9月から来てください。
給料は・・・・
休日は・・・
当直は・・・・と説明がまた続いた

きつねにつままれたみたいに、あっけにとられてまだ信じられないでいた
私「ここは競争率が高いので 絶対無理だと思っていたもので・・・」

P氏「もちろん高いですよ。でもね、私は興味のある人にしか面接しない。
簡単な仕事ではないけれど、一緒にそれを楽しみながらやりましょう!」

てなことで、嬉しいやら、拍子抜けするやら・・・!

でも、後日 正式な雇用の書類を送付してくれるというのだから、本当だろう。

シンガポールは早朝だというのに、即、電話をかけて夫をたたき起こした。
「受かったよ! 9月からフェローとしてチャプレンよ」

「You got to be kidding!   That is great!    You did it!」

何よりも、私を応援して、いつも弱気になるところとプッシュしてくれる夫も
心から喜んでくれている

は~、やれやれ

神様、新しいチャレンジをくださり、感謝します



長い記事をここまで読んで下った方、お疲れ様でした~