チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

カンファレンス


ホスピス・チャプレンの仕事のことも 書きたいと思いながらなかなか時間がない!

今日は カンファレンスについて書いてみようと思う

患者F さんは 70代半ばの男性
末期のガンで 治療を続けられていたが もう見込みがないということで
治療を断念し、自宅でのホスピスでの緩和ケアを求められた
一人でアパート暮らしをされていたが、体が弱り、娘スーザンの家に身をよせている

現在のところ、自力で数メートルは歩いたり、椅子に座っていたりはできるものの、
日常生活を 自力では行うことができない

今回のカンファランスは
これから進んでいくであろう病状にどう対応していけばいいのか
不安を感じている娘さんをサポートするというのが 主な目的。

出席者は、
患者のFさん、娘さん(50代)、
ホスピス・チームからは 看護士、ソーシャルワーカー、そしてチャプレンの3人。

看護士のリードで カンファレンスは進められた
「今日は、スーザンの不安の原因となっている 
『お父さんのFさんが 死の数日前 どのような状態になっていくのか、
 果たして自分はそれに向き合っていく 心の準備ができているのか』
 ということで カンファランスを開くことになりました」

スーザン
「今のところは 話もできるし、薬も自分で飲んでいるけど、
 病状が進んだらどうなるのかと思うと心配で」

Fさん
「スーザン、大丈夫だよ。僕は死ぬのは怖くない。
 いつでも死ぬ準備はできているんだから。
 今すぐにでも、神様のところに行きたいぐらいなんだ。
 でも、まだこうして生きている。
 僕が死ぬまで、どれくらい時間があるのでしょう?」

看護士
「体重の減り具合や 体の弱り方かたみて、8週間くらいではないかと思いますが、
 はっきりしたことはわかりません。
 痛みを取り除くことで、お父さんは痛みや苦しみはない状態ですから、
 その数日間、私は毎日訪問して、状態を見ながら あなたにアドバイスや
 教育をしますから、もちろん精神的な辛さは大変だと思いますが
 介護の意味では それほど心配はないと思います。」

こんな調子で進められていく

ソーシャル・ワーカーは 患者さんや家族のために 役に立つ情報や
援助機関などを紹介したり、

チャプレンは チャプレンとしてサポートできるスピリチュアル・ケアのほか、
会が 倫理的に機能できるように、みなが平等に発言できる雰囲気をつくり、自分とは価値観の違う意見に耳を傾ける雰囲気をつくる。
時としては 患者さんの代弁をしたりもする。

今回のカンファレンスでは、以前から患者さんが苦情を知っていたので
Fさんの気持ちを援護した

Fさんは 看護士が来るたびに 痛みの対処としてモルヒネを持ってきて
痛みがあってからでは 効くまでに時間がかかるので 
4時間ごとに飲むようにと 指示していた

ところが、Fさんは、
『モルヒネを飲むと 頭がぼーっとなって ずぐに居眠りしてしまう。
 痛みはあっても、モルヒネは使わずに 自分らしく生きたい」と。

そこで、
「一般的なホスピスの患者さんは 痛みを避けるためにモルヒネを常用していて
 寝たきり、無意識の状態もいたしかたないと いうのがほとんどですが、
 Fさんの気持ちを重要視して、モルヒネは緊急時に使用するということで
 対処できませんか?」と提案。

看護士は、それで問題ないとの回答が。

でも、娘のスーザンは 
「お父さんが痛みに苦しむのなんて、耐えられない」と涙し、
「定期的に取っていれば避けることなんでしょう?」

Fさん
「でも僕はモルヒネのために貴重な時間を眠ってしまうなんて嫌なんだよ
 最悪の時には 使用するんだから、わかってくれよね
 スーザンは本当によくやってくれて、感謝しているよ」と


国や文化によっては 死をタブー視するため
具体的に病気の家族の死について語ることは避ける
(元気な時に 死について語ることはあっても)
ましてや 患者本人も含んで 死期について具体的なことを話し合うのは
西洋的というか、アメリカならではなのかな?

よい人生の選択、そして死に方までも なるべく自分のコントロール下に
置きたいという人が多いここアメリカでの現状だ



先日の旅行より San Juan Island

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