恐怖の思い出
キャンピング・カーでキャンプをしながら帰省していた。
これはかなりの長距離のドライブだ。
何日もかけて 家族はワイワイ、ガヤガヤと旅を続けていた模様。
ある夏のこと、まだジムが4，5歳だったころのこと。
両親は夜通しキャンピング・カーを走らせ、
早朝に野中の一軒屋的なガソリンスタンドでガソリンを入れることになった。
周りには何もない、砂漠の中のガソリンスタンド。
子供たちは、ガソリンスタンドに車が止まっていることも知らずにスヤスヤと寝ていた。
ところが、ジムだけはトイレに行きたくなり、一人でキャンピング・カーを離れ、
ガソリンスタンドのトイレを借りた。
ジムが用を済ませ、トイレから出てみると、
なんと、もうもうと砂ほこりを巻き上げながら、
キャンピング・カーが走り去っていくのが見えるではないか！
気がつけば、ジムはＴシャツに下着のパンツ姿。
「待ってー！！！」と必死に追いかけたが、
無情にも、キャンピング・カーは 地平線のかなたへと 消えて行ってしまった・・・・。
かわいそうな少年ジムは、惨めな格好のまま、泣くしかない。
さて、1時間ほど車を走らせた両親は、何かがおかしいことに気がついた。
よく数えると子供の数が一人足りない！
まるで映画「ホームアローン」の世界。
すぐに引き返し 途方にくれていたジムを迎えに来たという。
「置き去りにされた あのときの悲しみといったらなかった。」
本人は、恐怖の体験を忘れることができず、時々話していた。
