チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

赤ちゃんポストで もの申す

今日、アメリカで日本のニュースを見ていたら、

一度は赤ちゃんポストに預けれらた子供を両親らしき男女が引き取りに来たので、返したとあった。

二人は赤ちゃんの特徴などを言い当てた上に、何か証拠らしい紙だかを持っていたとか・・・・。

私は「え?」と耳を疑った。

(以前にもこのブログで 赤ちゃんポストについての意見を書いたが、

育児放棄を助長するようなものを設置しておきながら、その利用状況について公表するのは疑問を感じている。)

ましてや、自分たちの子だと言って、少々の条件がそろっていたところで、子供を引き渡してしまうことにも

大きな疑問を感じたのは私だけだろうか?

子供を一度でも置き去りにするような行動をとった親なのだから、何らかの監視を必要とするのではないだろうか? (私って厳しすぎ?)

もともと望まれなかった子供なのだから、虐待を受ける被害者になることだって、ありうる。

せめて、DNA鑑定くらいはしてほしいものだ。

何らかの理由で子供をほしがる者に 間違って 子供を引き渡してしまう確立だってなきにしもあらず。

善意で子供をもらっていくならまだしも、悪意をもって何らかの搾取が目的とも限らない。

こんな世知辛いことを考えてしまう私は、異常なのだろうか・・・・。

そうかもしれないが、日本の生ぬるさを感じてしまう。


以前、子供のできないアメリカ人夫婦が 日本人の孤児を養子縁組する手続きを通訳したことがある。

その時に、県の役人が、なかなか書類を通してくれず、時間がかかり、夫婦は気をもんでいた。

彼らは、愛と善意に満ちて 孤児に温かい家庭生活を与え、本当の子供として育てたかったのだ。

県の役人が、アメリカ人夫婦のいないところで、私だけに話しかけてきた。

「実はね、簡単に外国人に養子縁組しない理由がありましてね。

 あのアメリカ人夫婦は、もちろん見た目には何も問題はありませんが、

 そう簡単に外国籍の人に日本人を養子にさせるわけにはいかないんです。

 外国に売り飛ばすとか、搾取する目的のために、外国に連れ出す理由ということもありますからね。

 日本国としては、日本人を守る義務があるので 簡単には外人には、養子させたくないのが、本音です。

 たとえ、孤児院で成長することになり、不幸かもしれなくても、

 外国に連れ出されて不幸になるよりは、いいということなんですよ。」


この話を聞いて、まあ、彼らの言い分にも 一利あると思ったが、個人的にアメリカ人夫婦を知っているので、

「何とか迅速に手続きを進めてほしい」と要請したものだった。

結局、審査が通り、彼らはこのかわいい女の子を養子として迎えることができた。

今でもこの夫婦と連絡を取り合っているが、この子は元気に育ち、今では9歳だ。

夫婦は2人目の孤児も養子として受け入れ、その子は7歳。

かわいい2人姉妹となって、優しい夫婦の元で、元気に育っている。

 
自分の子供を育てられない人と、人の子供を育てたい人。

「赤ちゃんポスト」の対応を見ていて、なんとも複雑な思いがする。