チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

アルバータ地区

 
文化人類学で アメリカにおける人種差別の実態について学んでいる
 
昨日は授業の一環として、
 
教授が牧師をしている Genesis Community Church (ジェネシス・コミュニティー教会)で 授業がもたれた
 
  (このクラスは、ティーム・ティーチングと言って、2人の教授が組んで教えているが、
 
   一人は白人のクレンバーグ教授、もう一人が黒人のフレイジャー教授)
 
この教会は10年前に 黒人と白人が一つになることを 目的の一つとして掲げ、
 
ポートランド市の北東に位置するアルバータ地区で 活動をしている。
 
アルバート地区は、もともと差別時代は 黒人地区に指定されていたが、
 
平等化後に 白人も住み始め、活気のある街とイメージ・チェンジしつつある地区。
 
 
クラスの課題の一つとして、奴隷制度、人種差別の歴史や経緯、実態についての本を読み、
 
レポートを書くというのがあった。
 
 
私が書いたレポートの内容は、日本での差別問題、アメリカでの日系人の差別の歴史についても触れ、
 
また、今度は自分が マイノリティー(少数派)として アメリカに住む者としての 意見や感想をまとめた。
 
  「個人主義が極度化しているアメリカ社会においては、
 
   人種差別は、法律で禁じられている以上、個人の自由な考えに基づいて 言動しているわけだが、
 
   人が、自分の親しむ文化や言語、習慣を 共有・共感できる 存在の場や存在の意味を見出すために
 
   黒人、白人、日本人、中国人、インド人など ある程度 自然に分かれてしまうことは 
 
   さほど悪いことではないのではないか。
 
   私は アメリカに住んでいて 自分の肌の色が原因で差別されたことは 一度もない。
 
   ここまで個人主義が進んでいるからには、社会全体で 人種の壁を破るウンヌンは困難を感じる。
 
   個人が自ら進んで 他民族、他人種との交流をもつことを 推進するしかないのでは・・・」
 
   みたいなことを書いて提出した。
 
 
ところが、フレイジャー牧師の昨日の話を聞いて、
 
自分がアメリカを 表面的にしか 見れていないことがわかってきた。
 
白人と黒人が 歴史や 個人の経験から、お互いに対して感じている 気持ちや感情を 
 
子供たちや次の世代に継承し続けている結果、深いミゾ、分断が 生まれているのだと・・・
 
 
たくさんの症例をあげて 話された。
 
たとえば、黒人差別時代に 黒人居住区域と指定されていた地域では、
 
平等が法律化された途端に、地上げが始まり、住み慣れた地域から追い出される状態を強いられたり、
 
 (そう言われれば、イマニュエル病院、フリーモント橋、ロイドセンター・モール、コロシアム・スタジアムなどは、
 
 みな同じ地域にあり、黒人を一斉退去させて 建築されたと聞いて、納得)
 
たとえ、マイホームを買えるだけの収入が安定していても、黒人だと銀行のローン拒否を受ける確立が大で
 
そのため、低収入住宅に黒人が集中(ゲットー化)し、
 
 ギャング、麻薬、犯罪の問題に 黒人社会自体が悩まされている。
 
アメリカでの黒人の寿命が短いのは、健康保険のついた職業につける確立が低いため、
 
 病院に行くときには、手遅れの状態が多いからだとか。
 
 黒人社会では 「病院嫌い」の男性が多いという問題があるらしいが、
 
 それは、裏をかえせば 白人優先のシステムの中で 自分たちが命に危険を感じているからだという。
 
    (病院に行ったら、生きて帰って来れないと信じている人も多いらしい・・・)
 
警察とのトラブルでは、黒人はどう見ても不利なため、
 
 親たちは息子が運転する年齢になると、違反で捕まったときに 事態を悪化させないスベを教えているとか。
 
黒人男性がエレベーターに 白人女性と乗り合わせると、女性は怖がって緊張するとか。
 
 
様々な否定的な思いが根づき、それが、子供から孫へと 語りつげられ グループの思想へとつながる。
 
 
サラという白人の学生が
 
「私には、黒人の友達も2人いますし、自分自身差別など したことはありません。
 
でも、話を聞いていると、白人として生まれたこと自体が 加害者と決め付けられているようで、
 
なんだか、腑に落ちないんですが、どう考えるべきなんですか??」 と素直な疑問を出した。
 
 
リベカ(白人)も
 
「私は教会学校のクラスで、黒人の子供が 差別されたと感じないように、特別に気を使っています。
 
これは、白人ならではの悩みです。
 
両方平等というより、どちらかと言えば 黒人を特別扱している自分や、そんな環境に矛盾を感じています」
 
 
フレイジャー牧師は
 
「そう、お互いに違和感をもっている そのことを 放っておかずにいくことが大事です。
 
自分の文化や価値観の中だけで満足するのではなく、
 
踏み出して 理解しようと言う気持ちや、よりよい共存の方法を考えるということが大事なのです。
 
『あの人たちは 私たちとは違うんだ』と 遠くから眺めているだけでなく、
 
他のグループがどんな生活をして どんな考えをもっているのかを知って、
 
共に、神に創造された人生を 豊かに生きる、それが実現できるのは教会だと 私は考えます。」と言われた。
 
 
このクラスでは、今学期中に 何度かこの教会を訪問する予定で
 
実際にアルバータ地域の住民に インタビューをしたりする内容も組み込まれている。
 
黒人と白人を Uniteする (「統一」と訳してしまうと なんかニュアンスが硬いな~)
 
教会の取り組みにも 興味津々だ。イメージ 1
 
マイノリティーとして 
 
このアメリカで生きていくためにも このクラスは
 
私の心と考えのホライズン(地平線)を 
 
広げてくれそうだ・・・・
 
 
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