チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

深い友情


数週間前、大学院の私のアドバイザーである教授から話があった
「実は、数年前の卒業生がALSにかかったらしい。
事務局で働いているDさんの友人の夫にあたる人なんだけど、 
もし、リエがその気であれば、何かの力になってあげてもらえないか?」という

さっそく 事務局のDさんのところにいって事情を聞いてみると、

親友のご主人が 病気と診断され、それを知ったDさんは 
周りに家族のいないこの夫婦のことを 自宅に受け入れ、
介護を手伝うために同居されているのだとか。

「私に何かできることがあれば、ご本人でも奥さんでも、あなたでも、
いつでも連絡くださいね」と 連絡先を渡しておいた

しばらく経ったので、そのことは忙しさの中で 薄れていた・・・・


今朝、DさんからEメールがあり、 
「友達のご主人のことで相談があります。時間をとってもらえませんか」
と、連絡が入った

早速、約束をして 今日 授業のあと、事務局のDさんに会いに行った

友達のご主人は、最近 呼吸困難を起こすようになり、
医者から『最後が近づいてきている』と宣告されたと言う
ご病気の本人は、明るく前向きで 自分の葬儀のことなど計画されているらしい
何という 肯定的な態度。

Dさんのことを信頼して、
『自分が死んだら、妻のために これこれをしてあげてほしい』など
具体的な希望まで言われているという

Dさんは、友達夫婦が介護生活をしやすいようにと
自宅の改築までされているらしい。
彼女自身、独身でがんばっておられるのだが、
「絶対に親友を一人にはしない。一人で苦しみを背負わせたりしない」と
全面的に、協力されているのだ。

その協力は、家族そのもの。いや家族以上かもしれない。

質問されるままに、私の経験を話すと、
友達のだんなさんは、私の夫のケースと非常に似た経緯をたどっておられる様子で
(ちなみに、主治医も担当セラピストも夫と同じALS医療チーム)
私の話が少しは参考になったみたいだった

Dさんは
「今日うかがった話は、友達にもきちんと伝えて、
もし、彼女が相談が必要となったら、また連絡させてください」と言われた

私が
「お友達夫婦のこともそうですが、Dさん、あなた自身は大丈夫ですか?」と聞くと

「はい。まだ夜に安眠できると言う状況なので、大丈夫なのだと思います。
これが、眠れないほどということになると、大丈夫じゃないと思うのですが・・

でも、彼があと数週間するといなくなるのかと思うと、
とても信じられなくて、残される友達のことを思うとやりきれません。」と、

涙を浮かべて話された。

人には、必ず 死と向き合うときがやってくる
そのときに、このように愛のあふれたDさんみたいな親友に支えられることは
幸いなことなのだろうと思う

小柄で か細い、外見からは想像できないような強さが
ことばだけでなく、実践に移せる勇気のあるDさんの中に見えた

本当の友情、深い友情って なんと美しい、そしてつらいことなのだろう

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                 Dさんと別れた後に 校舎のわきでみた さくらの花びら