チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

Lさんの苦しみ


Lさんは70代後半の白人女性
御主人と共に 小さな湖の湖畔にある家で2人暮らし。
3人の子供を育て、自立させた後は、二人で老後を楽しむ人生を計画しておられた

ところが、60を超えたころに白血病を患い、この十数年闘病を続けてこられた
そして、2か月前に 余命6ヶ月を宣告され、ホスピスケアを受けられることとなった

少女のころからクリスチャンだったという彼女は
若いころ「神様、私の人生をあなたの勇士として使ってください」と祈り、
自分に与えられた人生を神のために生きてこられた

若いころは教会の活動に熱心で、多くの人々に使える人生だったと語られた
そして、60を過ぎて白血病を発病してから、活動が制限されたため
自分の信仰の詩をまとめ、本として出版。
自分の代わりに本に活躍してもらうためだったらしい

初めてLさんを訪問した日、その本をくださって 読ませてもらっている
神との対話、会話がまとめられていて、とても読みやすい

Lさんにとって、神は権威ある遠い存在ではなく、
近く親しい存在なのがよくわかる

そんなLさんだが、自分の霊性がこれまでとは変わってきたのだという

「リア、ここ数ヶ月、神の存在が感じられないんだけど、なんでかしら」
「もしかして、神は私のことを忘れているの?」
「聖書を読むのが大好きだったのに、最近は読む気力もでなくなったわ」

とても、勝気そうで、時々きつい冗談も言いながら 気さくな会話をする彼女が
信仰については、弱気で 霊的な苦しみを体験しておられるのがわかる

「こんな風に 本当の話ができるのは あなただけなのよ」
「こんな話ばかり聞かされて、もう来週から来たくない
 なんて思っているんじゃ?」
「なんで 神様は早く私を迎えに来てくれないの? 苦しすぎる・・・」
「もう生きている意味も見いだせないし、早く死にたいのになぜ死ねないの」
「ずっと眠りから覚めずに、そのまま死んでしまいたい・・・」

呼吸困難をかかえているLさんにとって、毎日が葛藤なのだ

週に一度の訪問で、ほとんど同じようなLさんの心の叫びをじっと聞いてさし上げる
時々は 私の意見も述べるけれど、ほとんど聞いている

あのような呼吸困難の状態では、落ち着いて考えたり祈ったり、
聖書を読んだりすることも ままならないだろうに、
そんな自分をいつも責めておられるのだ

彼女はチャプレンと患者という枠から離れて、霊的な友人というか、
そんな感覚さえあって
「リア、あなたとは 病気になる前に 個人として会っていたら、
 私たちは すごく気の合ういい友達になれていたと思うわ」

「チャプレンのあなたに、こんなことをお願いしてもいいかしら?
 足をさすってもらってもいい?」

私「さすらせてもらいますよ~。でも後で請求書送りますけど、高いわよ」
などと、冗談を言ったりして、心をなごませる


この2か月で、彼女の呼吸困難はますます悪化しており、
死が近づいているのが目に見えてわかる

ご主人は献身的に彼女を支えて、自宅介護を続けておられてるが、
そのきつさにいつまでたえられるのだろうかと思ってしまう

チャプレンの存在が 神の慰めとして彼女の魂に接することができるようにと 
祈りつつ、毎週 Lさんを訪問している