チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

チャプレン・リトリート

 

先日、私の所属するホスピスが出費してくれて

チャプレン・リトリートが行われた

 

リトリートといえば、いわゆる修養会なので

どこかの会場を借りて 講演会とかワークショップとかをするのがほとんどだけど、

今回のは 全然違った

 

チャプレン全員でクジラ・ウォッチングのツアー! という企画

それで、シアトルのすぐ北にあるエドモンドという町の港から

大型キャタマランの船にのってカナダ付近までいく 

 

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まだ8月だというのに、この日は曇りで、気温も上がらず、

みなジャケットやダウンを着ている

 

海に出ると、強い風を受けながら全力スピードでカナダ方面に向かう

 

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雑談しながら 海を眺めるチャプレン仲間たち 

私たちのグループには専用の個室が用意されていて、デッキから出入りできる

 

この日はこの近海に住みついているシャチ(オルカ)の家族を見ることができた

 

4頭で泳いでいるオルカ ↓ (対岸はカナダのビクトリア島)

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彼らは長年このあたりに住んでいるため多くの研究者たちに研究されており

ヒレの形や白い体の模様の違いで固体を区別することができ

名前も年齢もわかっている

 

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なぜだか、オスのオルカは生涯 母親と一緒に過ごすらしい

(Mommie's boy) 甘えん坊のママっこなのか

 

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これは 2年間に生まれた赤ちゃんと 母親が泳いでいる姿

 

100人ほどの乗客がいたが、

約8分間後おきに息継ぎのため浮上してくるオルカの姿を見ようと

それぞれに息をのんで シーンと海を見つめる

 

小さな島の砂浜には アザラシや海鳥たちが・・・

 

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私たちの生活とそれほど隔たりのない深い海の中では

クジラやオルカたちが それぞれに私たちの生活や思いとは関係のない

豊かな生活を 送っているんだね

 

大自然の不思議

大自然の神聖さ

神の創造の偉大さ

 

忙しい仕事から離れて、しばし あらためて感動させられた

 

この近海では、4~5種類のクジラを見ることができるらしい

ツアーもクジラが見れない場合は返金してくれるというのだから

ほぼ毎日、どれかの種類のクジラが見れるらしい

 

シアトルにお越しの際は、

クジラ・ウォッチング おすすめです

 

エドモンドの港

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体の自由を失う意味

 

Nさんは 70代の白人女性

脳腫瘍でホスピスケアーを受けられている

脳腫瘍が神経を圧迫し、全身麻痺で ベッドの上に座ることしかできない状態

手足もほとんど動かないし、食事も自分ではできない

 

けれども、彼女は頭脳明晰で、記憶力も抜群!

脳腫瘍のため顔もゆがみ、口元もひきつっているため

時々 聞き取りにくいこともあるが 話は自由にできられる

 

現在はご主人と二人暮らしで、ご主人がすべての介護を担っておられる

 

彼女はアメリカ海兵隊でキャリアウーマンとして退職まで仕事をされた

軍の司令でご主人と世界の数か所に移動されたこともあり、

知識も見識も豊富な女性

 

彼女が60歳を過ぎたころ、乳癌を肺癌を患い手術を受けることになった

 

信仰深いクリスチャンである彼女は、

癌も何かの意味があって、自分に神から与えられたものと信じ

『癌を受け入れる』と決められた

 

「手術前に、ドクターからたくさんの資料をもらって

 癌について勉強していたんだけど、

 どれもこれも 癌について否定的なことばかりしか書いていなかったのよ

 『癌は神様からいただいたものなのだから、私は癌を愛そう』

 そう決めて、資料は最初だけ読んで、全部捨ててしまったわ」

 

幸い、癌の摘出手術は成功し、Nさんの体から取り除かれた

 

ところが、その数年後に今度は脳腫瘍にかかったことが分かったのだった

 

医者たちは、乳癌の転移だと予測し、悪性の脳腫瘍だろうと予測を付けた

ところが、Nさんは 乳癌・肺癌の手術の後、神様から声が聞こえて

『あなたは、これから決して癌に苦しむことはない』と言われたという

 

それで 脳腫瘍が悪性の癌に変わると予想する医師たちに、

「私の脳腫瘍は、決して悪性にはなりません」と最初から言い続けて

現在も医師たちの予測に反して、悪性脳腫瘍ではない状態だ

 

Nさんは ほとんどの自由を奪った脳腫瘍さえも、

神からのプレゼントだとして、受け入れ、愛しているのだと言われる

 

「不思議でしょう。脳腫瘍を愛するなんて。

 でも、本当なのよ。理屈ではなくて。

 だから、脳腫瘍のことや、不自由になったことで 

 今まで、文句を言ったことがないのよ」

 

ホスピスチャプレンとして、これまで多くの患者さんのケアに

あたらせていただいてきたけれど、このような話ははじめてだ

 

チャプレンとして、掘り下げていろいろ聴かせていただけるのは感謝なことだ

それで、突っ込んだ質問をさせていただいた

 

「なぜ、神様は、あなたに癌や脳腫瘍という命に関わる重い病気を

 与えられたんだと思いますか? 神様の目的はいったい何なのでしょう?」

 

すると彼女は

「私からコントロールを奪う目的だと思うわ

 私は人生ずっと、なんでもコントロールしてきたの

 だから、私からコントロールを取り去ることで、

 もっと神様に従うこと、頼ること、任せることを

 学ばせようとされているのだと思う」

 

「でも、まだまだいろんな意味で、自分をコントロールできているから

 神様はこれからも もっともっと私から自由を奪われると思うわ」

「それは、つらいことではなくて、楽しみなこととも感じているの」

 

Nさんは 静かにそう語られると目を閉じて 祈っておられる様子だった

そして、私たちは心を合わせて 神様に祈りをささげて訪問を終えた

 

週1回のNさんの訪問、

死に直面するNさんの心の思い、死生観、信仰の話を聞かせていただけるのは

特別な思いがする

 

 

 

 

 

アメリカ コロナの現状 一つの側面

私の住むワシントン州では、コロナワクチンの接種がすすみ、

16歳以上の大人の70%が すでに最低1回のワクチン接種を受け

集団免疫が獲得されつつあるとして、

インズリー州知事が 6月30日までに

「すべての制限を取り除く」と発表した

 

近所のスーパーでは 入口のサインが、これまでは

「マスク着用、義務化」Face mask requiredとなっていて

マスクなしには入店できなくなっていたのに対し、

先週から、

「ワクチン接種を受けてない人に限り、マスク着用」と

サインも変わっており、

客たちのほとんどが マスクをしていなかったので 驚いた

 

ワシントン州では、最初にコロナ菌感染の死者が多数出て

アメリカ中の注目を浴び、国民にショックを与えたが

それ以降、州政府の敏速な対応で

コロナ対策に当たっていたため、

1年半の格闘の末 すべての規制が取り払われることになった

 

ワクチンを受けていれば、

コロナ以前の生活に戻ることが許されるようになる

 

 

AP(Associated Press)の報告によれば

アメリカでの1日の死者数は 約300人まで下がってきている

 

そして驚くべき報告は

5月のコロナ感染入院患者数が 85万3千人のうち、

ワクチン接種をしていたのに感染した患者が 1200人と

ワクチンを受けていれば コロナで入院する可能性が、

わずか 0.1%の確率だということがわかっている

 

すなわち、ワクチンを受けていれば

99,9%の確率で 感染で入院することはないという結果に・・・

 

また、5月の死者が アメリか全国で18000人だったのに対し、

ワクチンを受けていたのに亡くなった患者は 150人であったとし、

ワクチンを受けていた患者の死亡確率は、0.8%で

すなわち、ワクチンを受けていれば、

死亡確率は、1%未満となるという結果が出ている

 

アメリカ国内でも、地域によっては

ワクチンに疑惑や恐れを持つ人が多く、

接種率が伸び悩んでいるが

個人的には、これらの結果を見ても、

接種することが望ましいのではないかと思っている

 

現に、私の職場の医療現場(在宅ホスピス)でも

昨日 突然にスタッフミーティングが招集され(オンラインだけど)

これからは、フェイスシールド(プラスティックの顔覆い)を

つけなくてもよいとの辞令が出た

 

まだマスクは着用しなければならないが、

それでもフェイスシールドをつけなくてもよくなっただけでも

チャプレンのケアーにも違いが出てくるため

一歩通常にもどった感じ

 

日本の母も80歳を超えているため 高齢者枠ということで

先週2本目のモデルナワクチンの接種を受け終えたとの

知らせがあった

 

日本でもこれからワクチン接種が受け入れられて

通常な日常生活に戻ることができたなら

幸せ度も向上することだろうと思う・・・

 

 

熱波到来

もうすぐ 独立記念日。

ワシントン州(西海岸全体?)では 今週、熱波の影響で

歴史上 記録破りの最高気温が予測されている

42℃とか 45℃とか・・・・!

 

それが今日、6月26日から 28日にかけて続くのだ

 

シアトル近郊ではエアコンのない家も多く、

我が家もその一つ・・・

 

この辺りでは、夏の間 暑苦しさを感じるのは

たったの1~2週間だけとあって

「その短い期間さえ我慢すればいいのだから

 エアコンは必要なし」との夫の意見。

 

ところが、おと年に熱波が来た際

仕事から帰宅して カルテを書くにも暑くて書けないほどの暑さで

私は夫に強く反論し(暴動を起こし!)

せめても ポータブルのエアコンをと求めたものの すでに時遅しで、

エアコンはどこを探しても売り切れだった

(みんな考えることは同じなのよね)

 

それで、去年の初夏にエアコンが売りだされるようになったとき

即決で購入したのだった

夫婦円満のためには 必須と 夫も承諾

 

アメリかでは

Happy wife, happy family 

(妻がハッピーであれば、家族みんなが幸せ)

=幸せな家族が欲しければ、妻をハッピーにすること

などと言われているが、

自分の意見が通らないときは、

都合よくこの言葉を出して、意見を通らせてもらっている

 

去年購入したポータブル エアコンは

家全体を冷やしてくれることはできないけれど、

普段集中的に居とどまっているキッチンとダイニングさえ

冷やしてくれれば、なんとか生き延びられるので

助かる~

 

我が家では 室温を上げないため

料理をすることも 乾燥機を使うこともご法度とされており、

昨夜から、野菜だけをカリカリ食べている

 

週末の恒例となっている豆乳作りも、パン焼きもできない

あ~あ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sage Hills Trail  セージヒルズ・トレイル ハイキング

5月6日は私の誕生日。

「誕生日はどうしたい?」との夫の問いかけに、

「きれいな花の見えるハイキングに行きたい!」と私

 

それで、贅沢にも、5月6日は仕事の休みをとって

前日の夜から出かけ、

自宅から2時間半のところにある Wenatchee(ウェナッチー)に行くことに。。。

 

インターネットの書き込みによると、

今、バルサムルーツが満開で見時だというではないか

 

ヴァンクーバーに住んでいたころは、5月になると

コロンビアゴージのDog Mountain(ドッグマウンテン)に登って

バルサムルーツの中をハイキングするのが楽しみだった

 

ここ、しばらくバルサムルーツを見ることができていない・・・

 

お天気も上々で、ハイキングには格好の天候となり

約10キロほど 歩いた

 

なんという美しいところ

 

写真をスライドショーにしてみたので、

一緒に楽しんでいただければと思う

 

 

 

 

 

チューリップ満開

 

4月の終わりごろから、ぐんぐんと背が伸びていたチューリップが

満開となった~~

 

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夫がちゃんと肥料をやってくれていたので、

球根にも栄養が行っていたらしく、

去年と変わらぬ美しさだ

 

 

大きな植木鉢に植えた色とりどりのパンジーも

一度は鹿に食べられてしまったけれど、

復活してくれて見事な花を咲かせてくれている

 

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去年は、狭小庭いっぱいにダリアが咲いて、

あまりのすごさに「フランケンシュタイン・ダリア」と

勝手に名付けていた

 

毎年 違うことに挑戦してみようってことで、

今年のテーマは ひまわり

 

夫が、大・中・小のひまわりの種を蒔く

種を植えてから、花が咲くまで100日かかるということで

づっと咲かせ続けるために、

これから2週間おきに、種を蒔き続ける作戦だ

 

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大きなひまわり(中央の)は 高さが3メートルにもなるというので

どんなことになるのやら、それはそれで楽しみだ~

 

庭作業が嫌で、コンドミニアムに住む人がほとんどだというのに、

私たちは逆行している・・・

 

このコンドミニアムで、花を植えているのは私たちだけだ

 

 

 

一人ぼっちの死

 

Mさんは29歳の黒人女性

2年前に 白血病と診断され、

ここ2か月前から急激に病状が悪化してホスピスケアを受け始められた

 

自分の病気は深刻なものだと伝えても、

兄弟たちは受け止めてくれず、

「気持ちの持ちようで何とかなるのだから」と言って

あまり、親身になってくれないという

 

実は結婚されているのだが

自分の病気が分かったとたん、夫は家出をしてしまい

そのままになってしまっている

 

これまでは 体調のいい時は食料品の買い物などに出かけたが

偶然に夫に出くわしたことがあるという

「元気なのに、病気だとが嘘をつきやがって!」と

お化粧をして出かけた彼女を見て、捨て台詞を吐かれたこともあった

 

お姉さんのアパートに間借りをして住んでいるが

お姉さんが仕事をしている間 

3人の小さい子供たちの世話をするように 期待されていて

誰も深刻に自分の病気を考えてくれないと

不満を言っていた

 

最近は、完全に左目が見えなくなり、右目はぼんやりとしか見えない

バランスも悪くなり、歩くのにも足元がおぼつかない様子だ

 

彼女はクリスチャンで、

「天国に行くとわかっているので、死は全然怖くないわ」と言い

2週間前に、母親の家で、自分の生前葬も行った

 

「みんながおいしい食事を持ち寄ってくれて、楽しかったし、

 涙や笑いがいっぱいで、とてもいい生前葬になった」と言っていた

 

そんなMさんは、その数日後、吐き気が止まらなくなり、

ホスピスの合意を得て、症状管理のために 入院された

 

病室に訪問させてもらうと、

「今朝は、吐き気で最悪の状態だったけど、今は落ち着いています」と

ベッドの上に座って、きれいに赤いマニュキュアを塗った手で

ブランド物のバッグから、スマホを取り出し、

なにやら調べ物をされていた

 

いかにも、若い女性の姿がそこにはあった

 

数日間、入院しているけれど、家族は誰も来てくれず

(コロナ感染対策で、一度に数人とかの見舞いは許可されていないが、

 2人までならできることになっている)

それどころか、自分がこんなに大変なのに、

兄弟たちは、電話で、どうでもいいような相談事を電話してくるという

(例えば、ショッピング中で、どっちの品物にしようか迷っているなど)

 

「もう、自分では薬の管理もできないし、アパートには戻れない。

 死ぬまでここにいさせてほしいと、ドクターに頼んであるの」

「ここで死ねると思うと、気持ちが楽になった~~~」

Mさんは屈託なく、笑顔で話した

 

「1週間後にまた来ますね」と約束してあったのに

その1週間が経つ前に、Mさんが病院で今朝息を引き取ったと

連絡が入った

 

家族にも親身になってもらえず、

一人で病気と闘っていたMさん

たった2度しか訪問できず、あまり力になってあげられることができなかった

 

患者さんを訪問するときは、

どんなにお元気そうに見えても、

これが最後の訪問になるかもしれないということを念頭に入れているが、

今回のMさんの死を通して、またしても そのことを思い知らされた

 

Mさんは今頃、すべての苦しみから解放され、天国に行き、

イエス様に迎えられて 圧倒されるような愛に包まれておられることだろう

 

 

散歩中の桜

 

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