チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

アメリカ陸軍時代

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         4Hクラブでパレードに出ているジム

ジムは中高生の時代、ベトナム戦争のニュースを見ながら育った。
毎晩のようにニュースで戦争の様子を見ていたという。

高校を卒業するに当たり、特に何がやりたということもなかったらしく、
国のためになるなら、ベトナム戦争に行って戦おう と4年契約で陸軍に入った。

ところが、入隊してコロラドで訓練を受けている内にベトナム戦争は終結となった。
本人としては 不本意だったそうだが、私としてはもちろん行かなくてよかったと思っている。

でもジムは時々、「ベトナム時代は大変だった」などと言って、
ありもしない戦争体験を語ったりして、人を引っ掛けたものだった。

彼は冗談が好きで、よく真顔でそれとらしい話をして人を引っ掛けた。
私も結婚当初はよく 彼の冗談にだまされたものだった。

夫は、おとなしく、まじめに見えるので、あまり冗談を言ったりするように見えない。
それで、まだ、それほど親しくない人は よくひっかかるのだ。


ともかく、彼は17才から21才までの4年間陸軍にいた。

夫に言わせると、「人生であまり思い出したくない4年間」だったらしい。
人とうまく行かなかった彼は、アルコールに溺れてしまう。
「酔っている自分か、2日酔いで気分が悪かったことしか記憶にないくらい」という。

そんな彼が、つらい4年をもう少しで終えようとしていたある日、
彼の人生を変える出来事が起こった。

休日、いつものように 一人寮で何気なくテレビを見ていると、
キリスト教の牧師が 刑務所の囚人に向かって話をしている番組が たまたま映った。
当時、彼は自分が自分の中に閉じ込められている、あるいは、軍に閉じ込められているような
囚人のような心境だったため、なんだか その牧師の話に聞き入ってしまう。

話の最後に、牧師が囚人たちに向かって、
「今日、イエス・キリストを自分の友として迎えたいと思う人は、手を上げてください」と言った。

彼は、一人で部屋にいたにもかかわらず、
本当に誰も自分の事を見ていないか、周りを見回して 一人であることを確認してから、
そっとテレビに向かって右手を上げた。

人とうまくいかず、本当の友と言える人もいなくて、本当に孤独だったのだろう。
そんなジムは、心から信頼できる人間関係、友と呼べる存在を求めていたのだと思う。
彼は素直な気持ちで イエス・キリストが本当に自分の友となってくれるのなら、そうしてほしいと
子供のような純粋な反応をした。

そっと右手を上げて、おろした。
そのときは、ただそれだけのことで、終わった。
けれども、この決断が彼の人生を大きく変え、彼を大きく成長させるスタート地点となったのだった。

彼はこのすぐ後、教会に行くようになり、イエス・キリストと人格的な出会いをすることによって、
すばらしい人生が展開して行った。

小さな 人の目にも留まらないような 一人の青年の心の中の出来事を、
受け止め、歓迎し、祝福し、それからの人生をすばらしい方向へと導かれる神。

なんと不思議な方、偉大な方、愛のある方だろう。

もし、詳しく興味のある人は、夫のHPを読んでください!
http://jimsalsstory.com/index.html