春の日のお散歩

愛犬ココとの散歩は、いつも近所の新興住宅街の空き地。
ここは、最近までモービルホーム・パークだったが、再開発されて高級住宅が立ち並ぶ。

先日、いつものように歩いていると、空き地にクロッカスが咲いているのが見つかった。
どうやら、以前のモービルホームの住人が庭に植えていたもののよう・・・。

住人がいなくなった後も、春になると忠実に花を咲かせているのだ。けなげ。
「誰も見ていなくても、野の花は美しくさいているではないか」と言うけれど、そのとおり。

次の日、さっそくカメラをもって行った。それがその時の写真。
ココちゃんもかわいらしく写っている！

昨日、またクロッカスを見るのを楽しみに、散歩に出かけると、
どうやらその場所あたりで　ショベルカーを動かしているのが、遠くから見える。

行ってみると、メキシカンのひげのおっちゃんが　ショベルカーで地面を掘り起こしていた。
「あのー、そこにあったきれいな花はどうなったんですか？」
「はー？」
「紫色の花があったんですけど、掘り起こしてしまったんですか？」
「はー？　わかりまへん」
何を行っても、英語自身がちゃんと伝わっていない様子。

おっちゃんにしてみれば、わけのわからないことを言う東洋女だな、って感じで、
ガガガーっと　ショベルカーを動かした。

すると、ショベルカーのタイヤの下から、ペッタンコになったクロッカスが現れた。
ショベルカーのタイヤの部分は、戦車みたいな鉄がグルグルと回るやつ。
地面も何もかもペッタンコにしてしまう。

私が覗き込んで
「オーノー！！　You killed them!」　（おっちゃん、殺してるでー！）と言うと、
おっちゃんは、にやりと笑って、
「ソーリー」と、肩をすくめて、「そんなこと言われても・・・」みたいな態度を見せた。

かわいそうに、今日は昨日よりずっと温かい天気だと言うのに、
クロッカスは、もうペッタンコのままで、死ぬしかないのだろう。