チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

婚約時代の思い出 1 「映画」

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ジムと私は時々、デートで映画を見に行った。

初めて二人で見に行った映画は「ロンリー・ウェイ」 (原題 Running Brave)
1964年の東京オリンピック 10000m で 金メダルをとった ビリー・ミルズの実話。

 この映画は 貧しいインディアン居留地に育ったネイティブ・アメリカンのビリー・ミルズが
 貧しさや社会の偏見に耐えながら、陸上選手として、大変な努力を重ね、
 ついに 東京オリンピックで金メダルをとるという感動のストーリー。
 まだ、見ていない方は、ぜひぜひ、必見!!! すばらしい映画だ。

誰でも、映画を見に行って、声を出すことが、時々あると思う。
たとえば、ショッキングなシーンに「ヒェー!」とか、「キャー!」とか思わず叫んだり、
     面白いシーンになれば、「ハハハ!」と笑ったり・・・・。

普通の人はこの程度だと思う。

ところが、ジムはスクリーンに向かって大きな声を出すのだ!
これには非常に驚いた。
何をしているのかと思えば、興奮のあまり、主人公や登場人物にアドバイスをしたり声をかけたりしている。

「そんなこと しちゃ、ダメだ!」
「行くな!」
「そこに隠れているぞー!」
「いい加減にしてほしいなー」
「今だ! 行けー!」

こんな感じで、椅子から身を乗り出したり、立ち上がりかけたりしながら、声を出す。

映画が心に残ったのもさることながら、
ジムの映画への参加のしかたに、なんともびっくりしてしまった。
本当に、子供のようだ。

映画が終わると、ジムはぐったりと疲れてしまう。
ストーリーに入り込んでしまいすぎるためだろう。

ちなみに、私が「あの俳優は ○○の映画に出ていたね」などと言うならば、
ジムは機嫌を損ねて、よく、こう言ったものだった。

「僕のせっかくの感動を無駄にするようなことを言わないでほしい。
 あの人は 俳優じゃなくて、本当の人物だと思いたいのだから・・・・。
 映画のおもしろさが、半減するよー。」

でも、私は時々、俳優の別の作品の話を持ち出したりして、
ジムに冷や水をかけるような意地悪をしたくなるのだった。

ジムと私は 結婚後もよく映画に行って、語り合ったりしたものだった。