チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

農家の現実 1 いのち

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牛のホルスタインが 子牛を身ごもっていた。

出産の日が来たが、難産で、なかなか子牛が出てこない。

母牛は長時間苦しんでいる。

父アートが友人で牛に詳しいアンディーという老人を連れてきた。

「このままでは 母牛も、子牛も危ない。」ということになり、

わずかに出ている子牛の前足と後ろ足のひずめに ロープをぐるぐる巻きにする。

それを、父、アンディー、ジム、私の 大人4人で、思いっきり引っ張るのだ。

アンディーが、「もっと強く!」と私たちに号令をかけ、必死に引っ張った。

やっとのことで、ズルリと子牛が生まれた!


子牛は、ヌルヌルのままだが、母牛に舐めてもらうと、すぐにヨロヨロと立ち上がった!

なんと、感動的。

農家ならではの経験だった。



喜んでいたのも束の間、出産の2,3日後、母牛の調子がおかしくなった。

難産がたたったのか、立てなくなってしまったのだ。

牛小屋の屋根と外の ちょうど間のところに ドテリと横たわった状態で動かない。

誰にもどうすることもできず、ただただ見守るだけだった。

子牛に乳をやることができないので、ヤギの乳を代わりに飲ませた。

子牛は、ヤギが自分の母親だと思って、ヤギの後を乳をねだって追い掛け回す。

大きなズウタイの子供に追いかけられる 小さなヤギの母親。とてもコッケイだ。


母牛は、何日も動けないまま。このまま死んでしまうかもしれない・・・。

その内、夜に大雨が降った。

屋根を伝って大量の雨水が地面に落ちる。

母牛は ちょうど雨水がドーッと落ちてくる真下に横たわっているのだ。

父がシートをかけて母牛をカバーしたが、この冷たい雨は 弱った母牛には致命的に見えた。

家族みんなが、絶望的な気持ちになった。


次の日、昨晩の大雨が上がり、打って変わったように すがすがしい青空だった。

牛小屋に恐る恐る行って見ると、なんと母牛が自分の足で立ち上がっているではないか!

その後、母牛は徐々に体調を回復して、元気になっていった。


子牛の誕生も感動したが、母牛の回復も感動的だった。