チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

農家の現実 2 いのち

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今度は ジャージーという種類の牛が4頭の子牛を生んだ。

1度に4頭も産めるなんて、すごいものだと びっくりした。

すくすくと成長しているようだったが、少しずつ変化が出てきた。

1頭だけが、ほかの3頭に比べて体格が悪く、弱いのだった。病弱に生まれついたのだろうか。

日が経つにつれ、その違いは、歴然としてきた。

母牛は、元気な3頭を連れて、悠々と草を食べて回る。

母牛と一緒の3頭は、しょっちゅうおいしいミルクにありつける。

そのため、この3頭は、憎らしいほどに、丸々と太っている。

小さい子牛は、母牛について行けないため、痩せ細り、さらに弱くなっていくのだった。

そして、ほとんど歩けなくなった。

私は、毎日この子牛を見るのがつらくて、気になって、何をしていても手に付かなかった。

ジムにいくら「何とかできないのか」と訴えても、

「This is farm life. You have to except it.」(これが農家の現実。受け入れるしかないんだという)

朝になると、この子牛は ほかの動物たちと一緒に、動物小屋から 一応出てくる。

けれども、力がないため、同じ場所に 一日中 咳をしながら、立っているのだ。

そして、夕方になると、ヨロヨロと歩いて、なんとか小屋に戻る。

こんなことが何日も続いた。


いつものように 子牛を見ると、いつも弱々しく立っていた場所で、とうとう子牛は倒れて死んだ。

私はたまらなくなって、子牛のところに走って行って、体をなでてあげた。

生きられないのなら、早く死が訪れて、苦しみから解放されてほしいと願ったが、

やはり、その時が来たら、悲しかった。


農家の現実は 垣間見ただけに過ぎないが、やはり厳しかった。