チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

農場の現実 3 いのち

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ヤギは、おばかさんな動物だ。

人間にたとえると、何も考えていない人、すぐに周りに流されるような人。

何かの上に登りたがるため(山のヤギはよく岩肌を登っているが)、幼稚園児のような遊具が必要。

聖書では、ヒツジの弱さやおろかなところが よく人間にたとえられているが、

父の家にいたヤギとヒツジを比較すると、断然 ヤギのほうがおばかさんだ。


ある時、近所の人から電話があり、「お宅のヤギが柵から出て、道路をうろついているよ」と言う。

家族4人で走っていってみると、何十頭ものヤギがバーバー言いながら、好きな草を食べていた。

父の土地は8万坪もあるというのに、ちょっとの隙間を見つけて 抜け出した様子。

この群れを柵の中に戻すのは、容易なことではなかった。

事態を収拾するのに、大変だった。

あかんたれのヤギには手がかかる。



さて、春になって 何匹かのヤギが赤ちゃんを次々と産んだ。 たいていは双子だった。

そんな中、1匹だけ子ヤギを産んだ母ヤギがいた。

その子ヤギは、真っ白でとてもかわいい。 毎日成長を楽しみにしていた。

ヤギの持ち主(父の土地を借りていた人)が 私にその子ヤギをあげるという。

でも、いつまでここで生活するか分からないので、残念ながら断った。

私たちはその子に 白ちゃんと名づけて、毎日見守っていた。

白ちゃんは、いつも母ヤギに寄り添うように、チョロチョロ付いて回る。

動物の赤ちゃんは なんとかわいらしいものだろう。


ある日見ると、白ちゃんがいない。

母ヤギは、何かを訴えるように、悲しい目をして私たちにバーバー言っている。

白ちゃんに何かが起こったのだが、どうなったのか分からない。

土地の中を流れる川にでも落ちたのか、それとも茂みの中に迷っているのか・・・・。

かなり時間をかけて捜索したが、何の手がかりもなかった。

昨日まで、かわいげに 母ヤギの周りを走り回っていたのに・・・・。


1週間ほど経って、ジムと私は牧草地をぶらぶらと散歩していた。

すると、子ヤギの後ろ足が、体からむしりとられた状態で落ちているのが見つかった。

犯人は、コヨーテらしい。

コヨーテは、夜に山から降りてきて、群れの中で 一番足の遅いものを狙う。


母ヤギは、自分のかわいい子が 目の前で襲われても 何もできなかったのだ。


あちこちの牧場でコヨーテの被害は日常だった。