チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

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インディアン居留地

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             インディアン居留地から見たマウント・フッド

家から北に1時間のところに 広大なインディアン居留地があり、ジムとよく行った。

インディアン居留地は、オレゴン開拓が始まった1800年半ばに、開拓者との問題を避けるため、
インディアンに与えられた土地だ。
(オレゴンでは開拓者がインディアンと結婚するなど、友好的な歴史がある)

不毛地帯ともいえるその居留地には、今も2000人余のネイティブ・アメリカンが住んでいる。
ワーム・スプリング族、パユート族、ワスコ族の3つの部族が、微妙に異なる文化を大事にしている。

彼らは居留地に強制的に住ませられているのではなく、アメリカ中 自由にどこにでも住める。
ただ、居留地内に住むのであれば、いろいろな得点がある。(税の緩和、低利子でのローンなど)
コロンビア川沿いでの 伝統的なサーモン釣りも彼らにだけ、許されている。

主だった産業もないので、大きなリゾートホテル(カニータ)があり、ゴルフや川下り、乗馬が楽しめるようになっている。
「オレゴンから愛」の俳優やスタッフたちもここに宿泊し、拠点となっていた。

このインディアン居留地は、時間の流れが ほかと違う。
私たちは 『インディアン・タイム』と勝手に呼んでいたのだが、
レストレンで食事を注文しようにも、待てど暮らせど、料理ができてこない。
夫は、よく冗談で「牛肉ようの牛、今から殺しに行ってるんじゃない?」なんて言っていた。

さて、日本人を連れて行くと、必ず、
「インディアンだから、頭に羽の付いた帽子をかぶったりしているのかと思ったら、普通のかっこなんだね。」と
驚かれる。

それは、日本を知らない外人が 「日本人は今でもちょんまげを結い、刀をさして歩いている。」と
想像しているのと同じことだ。

けれども、この荒涼とした土地を見ていると、その辺からノロシが上がってきそうな雰囲気。


さて、以前、酋長さんの通訳をしたことがある。
部族の伝統的なダンスのパフォーマンスがあったのだ。

その前に、お祈りをささげてからと言って、
西を向いては「西の神様・・・・・。」
東を向いては「東の神様・・・・・。」と、4つの方角に向かって感謝の祈りをささげはじめた。

ところが、この酋長さん、方向音痴なのか、全く違う方角を向いて祈っている。
ネイティブ・アメリカンといえば、自然のエキスパートというイメージが強いので、
「こんな人もいるのか」と思うと、真顔で通訳ができないほど おかしくてたまらなくなって、困った。

話の中でも、酋長さんは面白い人で トンチンカンなことを言って、客を笑わせる。
どこまでが本当の話なのか、聞いていても分からない。

通訳をしながら、思わず「それは本当ですか?」と聞いてしまった。
すると、「ウソに決まってるでしょう! 冗談、冗談!!」と酋長さんは笑った。

私が、「日本人はみんな『インディアン、ウソつかない。』という言葉を知ってるんですけど、
インディアンは絶対ウソをつかないものとばかり思ってました」と言うと、

首長さんは「そんな言葉知らないよ。インディアンもウソつくよ。」と言われたのだった。

昔コマーシャルか何かで、「インディアン、ウソつかない」とやっていたので、
それが頭の中に染み込んで、てっきり信じ込んでしまっていた なんと馬鹿な私。

もう、おかしくて おかしくて お客さんも 一緒に大笑い!
今思い出しても、涙が出るほどおかしい。

今、思うのだが、「常識のウソ」というリストにこのことも 加えてほしいものである。
今日の格言:「インディアンもウソをつく」