チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

オレゴンから愛 2

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            古谷一行さんと

いよいよ、オレゴンから愛の撮影が始まった。

私は現地スタッフでは一番の新入りで、現地の地理に強いことから、美術班の担当となった。
美術班というのは、大道具、小道具の係りのおじさんたちで、
畑が必要となれば、畑を作るための苗を買いに行き、ダッドのお墓が必要となれば場所を探しに行く。

撮影の拠点となった、古谷一行と木の実ナナの農場の家は、マドラス市の西にあり、
(マドラスはリバー・フェニックスの出生地)
血のつながりのないおばあさんが二人で姉妹のように仲良く住んでいた白い2階建ての家。
そこには、息子と称するこれも血のつながりのない中年の男性が同居して、おばあさんを助けていた。

外の撮影は、全部オレゴンで行なわれ、農家の中は、日本で撮影された。

主人公あきら少年の通う小学校は、マドラスのトリリアム小学校、先生役は本当にここの先生で、
子供たちも現地の子供たちだった。

私は美術班の担当とは言え、昼食の買出しとか、俳優さんの送り向かいなどなんでもやる。

これまで、有名人とよばれる人とは、話たこともなかったので、おもしろい経験だった。

古谷一行さんも、その一人。
彼は、普通に話のできる、普通の人だった。
テニスが好きで、撮影のない日は、決まってホテルでテニスをしていた。
背が思ったほど高くなかったのは、意外だった。

「自分の今があるのは、『犬神家の一族』で金田一幸助役に自分を雇ってくれた監督のお陰だ。
その以前の厳しかった時代を忘れないようにしている。」と謙遜な話をしてくれた。

リラックスして話をしていても、仕事となると真剣。
ひとたび監督の「アクション!」の言葉がかかると、急に演技がはじまる。さすがだ・・・。


主人公の「あきら」くんは、うんと恥ずかしがり屋のおとなしい少年。
内気な性格をなんとかしようと、親が彼を子供劇団に入れたところ、
「あきら」役に抜擢されたと、同行されてたお母さんが話しておられた。

監督の演技指導に 一生懸命こたえ、演技をする、おとなしい「あきら」くんだった。

古谷一行の弟役の 寺泉憲さんは、明るいというイメージの人。
人を笑わせたり、エンターテインすることが根っから好きという感じで、
撮影以外のときでも、英語なまりの日本語で、よく話し、よく笑わせる。

撮影現場の雰囲気は、真剣だけど、スムーズという感じだった。
だが、緻密に計算された時間内にドラマを収めるために、
撮影中はすべてがストップウォッチで図られ、その枠の中に収まるようにセリフを言わなければならない。
割と緊張する現場でもあった。

テレビ業界というのは、どうやら、監督がもっとも偉く、その次にカメラマンが偉い。
アメリカ社会と違い、上下関係のとても厳しい 古風な社会のようだった。

プロデューサーの仕事は、どんなものなのか、具体的なことは知らなかったが、
現地では、お金の計算をしたり、お弁当の中身をどうするかなど、割と細かい仕事で、意外だった。

炎天下の下で、みんな真っ黒になりながら、ドラマ作りにみんなが専念していた。