チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

オレゴンから愛 4 リエのエキストラ

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ある日の撮影風景(病院)

伊藤蘭さんと、寺泉憲さんが演じる恋人同士が結婚するシーンを撮影することになった。

選ばれた撮影場所は、当時ジムの両親が会員で熱心に通っていたカトリック教会。
ウエディングとはいえ、式が終わって 人々の祝福を受けながら 教会から出てくるシーン。

日系人の結婚式なのに、誰も日本人がいないと不自然ということになり「リエさん、出てねー」と言われた。
教会の出入り口の階段から、幸せいっぱいに降りてくるカップルに祝福の言葉をかけながら、
ライスシャワーを浴びせるという、なかなか演技力のいる(ウソ!)エキストラの役。

ドラマの海外撮影については よくわからないが、当時は、機材の持ち込みに制限があったのか、
カメラは1台だけだった。
日本でなら、1つのシーンを3,4台のカメラで 1度に撮影したものを編集するらしいが、
その時は、何度も同じシーンを演技し、1台のカメラをその都度、設置の位置を変えて、数回撮影した。

たった2、3分の結婚式のシーンに4時間もかかったのだった。

そのころは、私はカメラ事情などもわからなかったため、「4時間も撮影にかかったのだから、自分がドラマに移っている時間も、そうとうあるだろう」なんて勝手に想像していた。

日本の親には、「ジムがカフェのシーン、私は結婚式のシーンだから、見逃さないように!」と連絡。
親も、アメリカに送り出した娘夫婦が ドラマに出るとなると、嬉しかったらしく、ご近所や親戚に触れ回った。

ドラマ放映の当日は、両親はもちろん、話を聞いていた人たちも、ビデオ録画を準備して楽しみにしていた。

さあ、ドラマが始まり、ジムのシーンはバッチリ。「あ、ジムが出ている!」と確認できた。
ところが、私の出ているシーンは、あんなに時間をかけて撮影していたのにかかわらず、
2秒写ったか、写らないかの程度だった。
「え? あれがリエだったの?」くらいで、はっきり確認できないかったらしい。

ドラマ終了後、家族はビデオを再生・ポーズして、やっと私が出ていたことは確認できた様子。

放映された翌日、「ドラマ見たけど、お宅のお嬢さん、出てたー?」と皆に言われて、
「大騒ぎして見てもらったのに、恥かいたわ」と母から文句を言われた。

私たちはずっと後になって、ビデオをもらい、自分たちの出演作品を鑑賞。
問題のシーンで、私の顔は2秒しか出なかったが、古谷一行の隣に立っていたので、私の右肩だけは、長々と写っていた!

ジムが、「リエの肩が写っているからこそ、すばらしいシーンになったんだ!」なんて冗談言って、
二人で笑った。

かくして、私たち夫婦の始めてのテレビ出演は、まばたきをすれば見失うほど「あっ」という間の
出来事だったが、心の中には、印象深く残っている。