チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

愛犬デイジー

イメージ 1

               ジムとデイジー

デイジーはジムの両親が飼っていた雑種のメス犬。


実は、クローチ家で飼う犬はみんな名前が「デイジー」と付けられる運命にある。

おそらくジムが子供の頃から4、5匹飼っていたが、どの犬もデイジー。

だから、家族で集まるとき、誰かが「デイジーがさー、・・・・」なんて言おうものなら、

「それって、黒くて小さかったデイジー?」

「ううん、あの中ぐらいのサイズのボチのやつだよ。」と、確認し合って、話がややこしい。


さて、このデイジーは、ちょっと太り気味でとてもおとなしくかわいい犬。

彼女は、近所の子供が遊びに来て 耳を引っ張ったりしても、相手が子供なのでじっとがまん。

まるで、ベビーシッターをしているかのように、いつまでも子供の相手をしていた。


父の農場では、ロックチャック(山ねずみロッキーチャックと同じものと思われる)の被害が大きかった。

ロックチャックは岩の多い土地に穴を掘って住んでいる体重3,4キロにもなる割と大きな動物。

その穴に 牛が足を取られて骨折するということで、嫌われていたのだった。


デイジーは、ロックチャックを捕まえるのが大好き。

遠くから見ているとロックチャックは 穴から出てきて草などを食べているが、

少しでも何かの気配を感じると すぐに走って穴に逃げ込む。

しばらくすると、もぐらたたきのように、あちこちの穴からロックチャックがヌーと頭を出す。


デイジーは、そんな臆病で敏感なロックチャックに気づかれないように、数百メートル離れたところから、

真剣な顔で「抜き足差し足」で接近し、捕まえようとする。

観察していると、デイジーは「坊さんがころんだ」のゲームのように、

ロックチャックが少し目をそらした隙に、数十センチ進んではじっとして、を繰り返している。


ほとんどの場合は気づかれて 穴に入り込まれ、努力は報われない。

しかし、本当にまれではあるが、ロックチャックを殺して、くわえて帰ってくることがある。

私たちには戦利品は見えないが、家の軒下に一時隠しておくらしく、デイジーが口の周りを土で真っ黒に汚しているために、勝敗がわかるのだ。

あるとき、普段の農場とは違う 異様な臭いが家を襲った。

デイジーの戦利品が軒下で腐っていた臭いだった。ヤック!

父が掘り起こして、どこかに捨ててきたようだった。


デイジーは、また、父のよき友達でも会った。

父は寂しがり屋で、農作業に出かけるのにも「ジム、一人じゃ寂しいから一緒に行かないか?」と
いつもジムを誘っていたほど。

農夫が孤独を嫌がるなんて、ちょっと不思議だと思ったが、
デイジーはそんな父に寄り添うように、いつも忠実に一緒に行動をしていたのだった。

デイジーは 農場でのびのび暮らしていたが、後に両親の引っ越しで、大都会ミネアポリスに連れて行かれ、
大好きなロックチャック狩りもできなくなって、年をとっていったのだった。