チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

R小学校の思い出3 家庭事情

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                 オレゴン・コースト


アメリカは離婚率が高いと知られているが、小学校でもその現状はもろにうかがい知ることができた。

生徒の家庭事情が複雑なのだ。

親が離婚しているのが半数くらいだし、再婚している親も多い。

自然と生徒の会話も 複雑な家庭事情を反映していて、ややっこしい。

「私の前のお父さんの子供がねー」とか

「僕の2人前のお母さんは、・・・・」とか、聞いていて人間関係がわからなくなる。

私が「あなた何人兄弟?」とか聞くと

「前のお父さんの子供が2人で、その前のお父さんの子供が3人、自分の兄弟が2人だから、合計7人かな。」

こんな答えが平気で返ってくる。

彼らにとって、それほど悲劇的なことでもないようで、自然と受け止めている様子。

かえって、自分には兄弟が多くよいことなのだと思っているほど。

中には、レスビアンの家庭に養子にもらわれた子もいて、お母さんが2人いたりもする。

またSちゃんは、シングルマザーに赤ちゃんの時に養子でもらわれて、

「私、本当のお父さんとお母さんが結婚する前にできちゃった アクシデント(事故)の子なのー!

 だから、今のお母さんがもらってくれて。

 私にはおじいちゃん、おばあちゃんが 3組もいるから、クリスマスはすごいプレゼントなのー!」

天真爛漫に嬉しそうに話す。


また、アメリカでは妊娠できる、できないに関わらず、養子をもらう家庭が多いので、

白人家庭に韓国の子供がいたり、黒人の子供がいたり。

彼らは自分の血筋を隠すことはできないので、小さい頃から自分が養子であることを知らされ、

「これが、お父さんとお母さんが 僕をもらいに来てくれたときの写真だよ」と看護婦さんから赤子を受け取る写真を見せてくれる。

彼の親は子供が白人の家にもらわれても韓国を誇りと思うようにと、文化や料理などを家庭で気をつけていた。


また、母親が人種の違う男性と結婚を繰り返し、兄弟3人が全然違った血筋を引いた女の子もいた。

彼女は、兄が黒人、自分はアジア人、弟が白人だったのだ・・・。複雑・・・・。


離婚の泥沼に巻き込まれる子も多く、かわいそうだった。

親権の事情で、第1、第3週は 父親の家、 第2、第4週は 母親の家に住む子もいた。

そうなると、自分の服がどっちの家にあって、宿題や本がどっちの家にあって、

親へのお知らせのプリントがどっちの家に行ったのか、本人も混乱して、誰にもわからない。

小さい頃から、過酷な運命を背負わされて、自分のセイではないのに、「忘れ物が多い」と先生にしかられたりしてかわいそうなものだ。


アメリカの家族は、ひと言では説明できないほど、複雑・多様だ。

子供は一見、親が離婚しても適応しているようには見えるが、

私が見る限り、子供は大きく傷つき、混乱し、悲しんでいる。

アメリカの少年犯罪や麻薬問題などは、こういったことが大きな原因の一つであるとよく言われてきた。


また、私が思うに、アメリカ人は結婚というものを純粋にとらえすぎているのかもしれないと思う。

夫婦がいつも愛情を感じあい、愛を示し合い、支えあい、それが「結婚」という理想だと考えて、

そのような関係がなくなったときに、結婚を解消し、あらたに結婚相手を求める。

愛の一面だけしか見ていない。

それに比べて、日本人はもともと忍耐、辛抱、受容が美徳の一つとされてきたため、

結婚にもそれが適応されて、離婚に踏み切らない夫婦も多い・・・・??


ともかく、アメリカでは転職も多いが、離婚再婚も多い。

チャンスとオポチュニティー(機会)の国、アメリカでは、そういった意味で歯止めが効かないのかも。


複雑な家庭環境に生きることを余儀なくされてきた子供たちは、力強くもあり、傷つきやすい存在だった。