チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

アルバータ地区 その2

 
文化人類学のプロジェクトで、アルバータ地区について いろいろ調べている。
 
この地区は、80年代はじめまで、黒人地区とも言えるほど (指定されていたわけではない)
 
黒人が中心の界隈だった。
 
80年代から、徐々に姿を変え始め、今ではアートを中心として街づくりに力を入れている。
 
この街づくりに、いろいろと波紋があることを知った。
 
街の変化を歓迎する声。 反対に、街の変化を悲しむ声。
 
 
調査レポートを書くために、インタビューをしたり、電話で問い合わせたりして 生の声を聞いている。
 
その中で、アメリカ黒人コミュニティーに 影響を与えている2つのことが 浮き彫りになってくる・・・
 
「レッドライニング」 Redlining  と   「ジェントリフィケーション」 Gentrification
 
 
 「レッドライニング」とは、銀行が黒人やマイノリティーの民族に対して、ローンの貸付を拒否すること。
 
 たとえば、同レベル収入の白人と黒人がローンに申し込む時、白人には貸すが、黒人には貸さない。
 
 従って、ローンの組めない黒人は、家を持つことが困難。 結果として借家住まいを強いられるという不当。
 
 
 「ジェントリフィケーション」とは、外からの人や会社が 古い低値の住宅を買い、
 
 手をいれ 新装して高値で売り出す。この連鎖がはじまると、地区全体の地価が上がる。
 
 街がこぎれいになる一方で、アパート代や借家代も上がるため、低所得者は退去を強いられる。
 
 (日本語のヤフー辞書によると 「ジェントリフィケーション」は高級化となっていた。)
 
 
イメージ 2アルバータ地区では、90年代から 
 
 このジェントリフィケーションが どんどん進み、
 
 今では、庶民的で明るく、バイタリティーのあるストリートという 
 
 イメージがぴったり。
 
 街を歩くと、いろんな人種の人が、街を楽しんでいるのがわかる。
 
 レストランで食事をする黒人の夫婦。 
 
 犬をつれて散歩しながら楽しむ若い女性。
 
 赤ちゃんをベビーバギーに乗せて買い物を楽しむお母さん。
 
 こぎれいなカフェや、エスニック料理のレストランなど、
 
 魅力的な店が並んでいる。
 
 
70年代から 80年代にかけて、ここでギャングの犯罪や 麻薬の取引、強盗が頻繁にあったなど
 
想像するのは困難なほど。
 
 
これまで、インタビューした黒人によると、
 
「犯罪の低下は歓迎するが、追い出された形で 自分のコミュニティー無くなってしまい、悲しい」 という。
 
インタビューした白人によると、
 
「ジェントリフィケーション大歓迎。 安心して生活できる街であることが 第一条件!」 という。
 
 
街では、もともとの住人(主に黒人)が この地区から出て行かなくともよいように
 
低所得者対称の借家やアパートも 建設され 緩和策もあることはある。イメージ 3
 
でも、そのアパート建設を 一方では、
 
 『政府の助成金を利用して
 
 ビジネスを成功させるための場としか 
 
 見ていないのだ』 との批判の声も・・・
 
 
 アートの街として 再出発をし始めた 
 
 アルバータ地区。
 
 さて、これからどのような発展を遂げるのだろう。
 
 
私は、ここから出て行かざるを得なくなった 黒人たちが どこに行ったのか、その後どうなったのかを
 
注目しながら調査レポートを書くことにしている。
 
 
                            外壁一面に明るい壁画のある自転車やさん 
  
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