チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

医大生をつれて


『医大生が病院における霊的ケアーの重要性を知る』という教育の一環で、

3時間チャプレンに付き、実際の霊的ケアーを体験するというクラスがある。

私には5人の医大生が割り当てられ、そのうちの2人が金曜日の午後にやってきた。


いかにも聡明そうなふたりは、人柄的にもとても感じのいい学生。

最初に短いミーティングをもち、霊的ケアーがどんなもので、なぜ大事なのかを知ってもらう。

その後、実際に 一緒に病棟に行って 患者さんを訪問し、そのやり取りから(会話)から

霊的ケアーが患者さんを助け、それが全体的に治療の前進につながっているのを見てもらった。


これから心臓の手術を受けるばかりという生後数日の新生児のそばで 涙する若い両親がいた。

この赤ちゃんは生まれる前から産科で 両親の依頼を受けて 祈ってきた赤ちゃんだ。

(ご両親は カトリックの信徒で、チャプレンに無事の出産を祈ってほしいとリクエストされたのだ)

「お祈りしましょう」 そういって、赤ちゃんを囲んで 手術の無事を祈った。

ご両親は もちろん、医大生も (もちろん私も) 心をこめて祈り、涙が出た。


他の病棟では、術後の回復中で、退院を待っているという患者さんを訪問。

患者さんの闘病の大変さなどの話を聞いた後に、医大生から患者さんに質問する機会を設けた。

「私たちは将来医者になろうとしているんですが、私たちにアドバイスがあったら教えてください。」

すると、患者さんは

「患者の話を聞けるドクターになってください。

長年医療を受けてきて、ベッドサイド・マナーのなっていない医者が多い。

患者を治療の対象として見るのではなく、人として向き合ってほしい。」 などなど

彼らの心にビンビン来るような アドバイスがなされ、勉強になったようだった。


あっという間に3時間が過ぎた。

短い時間だったが、効果的だったかどうかは別として、ともかくチャプレンの役割を見てもらった。

彼らは 今学期中にこの体験をレポートとして提出することになっているのだとか。

そのレポートを見せてもらえると 聞いているのだが、どんな内容なのか、興味のあるところだ。

さあ、あと3人の医大生を11月中に連れて回る予定。

慣れないことなので、気を使って疲れるが、よい経験をしてもらえればと思っている。