チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

精神の強さ


今週火曜日の夜の当直の際には、4件の緊急対応があり、そのうち2件で 患者さんが亡くなられた。

ひとりは 救急で運ばれてきたユダヤ人の女性が亡くなられ、

最初は数人のご家族のケアーにあたっていたが、そのうち続々と友人たちが集まって来られ、

待合室の椅子にずら~っと 25人ぐらいは来られた。 ひえ~・・・・・

ユダヤ人たちの人情の厚さには、非常に感銘を受けた。


ユダヤ教の死者を扱う習慣を尊重して チャプレンとしてお手伝いするわけだが、

クリスチャンのやり方とは、非常に違っていて、とても勉強になった。

さまざまな要求や用事を家族の依頼に沿って ひとつづつ対応していく。

病院スタッフは、いつものように遺体を扱うわけだが、

チャプレンは、患者や家族の宗教や習慣が なるべく尊重されるように 間に入って調整する。

遺体の扱い方で ちょっともめたのだが、その間 家族側の立場に寄り添って、サポート。

これが幸いして ご家族の信頼をいただけたようfだった。

悲しみに打ちひしがれながらも、色々な手続きをしなければならないのだから、遺族はお気の毒だ。

一応の段取りがつき、状況が落ち着くまでに 4時間かかった。

人間知らないもの同士でも、4時間一緒に真剣なやり取りをしていると 心が通うものだ。


仮眠室に戻ると 夜中の12時半になっていた。

夕食は食べそこねたので、軽くスープをそそって済ませる。


神経が高ぶっているのか、なかなか寝付けない。

寝付いたかと思うと、すぐに目が覚める。 眠りが浅いのだ・・・・・・

寝返りばかり打っていると、朝の4時50分に ページャーが ピピーっと鳴った!


今度は ICUのヒスパニックの女性患者さんが 心肺停止。

駆けつけると 蘇生されてはいたが、 いつまた心肺停止になるかわからない状況。

大柄の3人の中年の息子さんたちが 目に涙をいっぱいためて ベッドを取り囲んでおられた。

「母親のために祈ってください。 いつ逝くかわからないんです・・・」

「すべて 神様にゆだねて、彼女のためにも、もう蘇生はしないことに決めました・・・・」

みんなでベッドを囲んで、心を込め、「神様が最善をなしてくださる」ことを信じて祈った。

結局、7時半に最後の息を引き取られ、遺体がきれいにされている間に、

また続々と連絡を受けた家族がやって来られた。

ヒスパニックの人たちも、本当に人情が厚くて感動した。

最後にみんなが集まったところで、最後のお別れの祈りをささげてほしいとの依頼をされた。

厳粛なこのとき、聖書から2箇所読んで、祈りをささげた。

皆さんの悲しみを ひしひし感じて、私も涙声になってしまった。

すべてが終わったときには10時半になっていた。



この当直では、文化・宗教のちがう 2つの遺族(大人数)に対応させてもらった。

実は私は 大人数に対応するのは個人的には苦手なのだが、

心を込めて、誠実に 対応する、そのことだけに集中して 対応させていただいた。

チャプレンの仕事は、その場その場で 人種も文化も背景も異なる人々が

厳しい現実に直面されている その瞬間に立ち会うということで、本当に精神的な強さが要求されることを、

この日は特に 身をもって感じた。


このあと、肉体的にも 精神的にも、どっと疲れが出た。

まだまだ、これからだな・・・・・・・ 新米チャプレンは 大変だ!