チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

Aさん、100歳おめでとう

今日は ホスピス患者のAさんについて書こうと思う

Aさんは9月のはじめに100歳の誕生日を迎えられた
2年前に脳梗塞を起こされ、入退院を繰り返しておられたが、
数か月前から、自宅での療養を決心され、
これ以上体に負担のかかる前向きな治療はやめることにされた

テキサスで生まれ育った黒人女性のAさんは若いころに
軍人であった夫の転勤先として共にシアトルに移り住まれたという

ホスピスケアの患者さんで100歳前後の患者さんがちらほらおられるが、
このAさんは とても特別な方だ

まず、見た目が若く80歳くらいにしか見えない!
そして、まったく認知症の傾向がなく、頭脳明晰で 会話も楽しい
そして、これまた驚くのが 耳が遠くないし補聴器もいらない
目もよくて 眼鏡をかけるくらいなのだ

職業はもたれたことはなく、
教会での奉仕や 近所の子供たちのベビーシッターなどをして、
たくさんの子供たちの成長を見てこられたのだという

黒人メソジスト教会に所属されており、
若いころはリーダーの一人として奉仕しておられた

脳梗塞で右半身がご不自由なのだけど、言語障害はなく、
会話は自由になされる

毎日をどんなふうに過ごしておられるのですかと尋ねると
「まあ、一日一日を平穏な気持ちで過ごしているわよ。
 今まで辛いこともあったけど、常に神様が導いてくださったし、
 特に心配なことはないわ。

 神様は 追いきれない重荷を背負わせることはしないって
 約束してくださっているんだから、
 心配しても仕方がないしねぇ」

さらりとした会話の中に、彼女の信仰の姿がにじみ出ている

今の目標は?との質問に対しては
「手足のリハビリを少しでも受けて 動けるようになりたいわ
 ちょっと見て、一生懸命自分でさすったり、動かしたりしているうちに
 こんなに動くようになったのよ」

そういって、不自由になった右手の指を動かして見せられた

彼女の目標は、自分でフォークをもって食事がしたいということだ

ホスピスでは 残念ながらセラピーはサービスに含まれていない

そこで、病状の安定しているAさんが 本当に余命6ヶ月なのか
IDG(会議)でみんなで検討した結果
近々、ホスピスを卒業できることとなった

テキサスの高校同窓生たちもみな死に絶えてしまって
同年代の友達が一人もいなくなってしまったけれど、
自分の子孫の成長を見守りながら これからも 平穏な気持ちで
神様が天国に迎えに来てくださるまで
生かしていただきます

と、本当にあっぱれなAさん

訪問の時は必ずギターやウクレレを持参して
一緒に讃美歌を歌うのだけど、
100歳の患者さんと 一緒に歌うことなんてめったにない
そう考えると光栄なことだと思える


ところで、コロナのお陰で盛大な誕生会もできないというので、
娘さんが企画して
Aさんを表のポーチに女王様なみに座らせ
車にのったままクラクションを鳴らしたりしてのお祝い
数十台の車に乗った友人たちがお祝いに駆け付けてくれたという

Aさんなら、101歳も十分迎えられそうな感じが・・・・

Aさん、これからも神様の守りの中
平穏な毎日を過ごし、皆の励ましとして生きてください


Aさんの家の表ポーチの飾りつけ

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