チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

田舎生活

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            庭の父

5エーカーの土地に住むということは、これまでにない経験もたくさんあった。

庭には、ブドウの木があり、紫のブドウがたくさんなった。

また、りんごの木が何本かあり、小さなりんごがたくさんできた。

鹿はりんごの実が好きらしく、時々朝早くやって来てはりんごを食べていた。

小さなさくらんぼが 並木のように植わっている木に鈴なりについて、私は仕事に出かけるとき、

車の窓を開けて、さくらんぼの束を枝から取り、運転しながら頬ばったものだった。

田舎には元気な大き目の鳥がビュンビュン飛んでおり、スズメも大型で元気。

マウント・フッドが全貌できるリビングの大きな窓に、よく鳥がぶつかり、脳震盪を起こした。


さて、田舎生活で一番大きな変化を体験したのは、父だったと言える。

父は大阪の商売の家に育ち、都会っ子。

ダンディーにダンスやゴルフをやっていたのに、山の家では、作業があるのだ。

父の一番の仕事は、芝刈り。トラクターのような大きな芝刈り機で刈る。

土地が広く、前の家の持ち主も、「どこまでがうちの土地の境界線か行ったことないのでわからない。

多分あの辺だと思う・・・。」と言っていたほど。

そこに植わっている草は、放っておくと、すぐに腰の高さまで育ってしまう。

山火事の恐れがあるため、放っておいてはいけないという決まりがあった。

父は、ヒマさえあれば、大きなトラクター芝刈り機に乗って、草を刈る。

何日もかかってやっと半分ぐらいのところまで刈ると、すでに始めに刈ったところの草が伸び始めている・・・・。

まさに、Never Ending・・・。(永遠に終わり無し)


父に用事があって 母に「パパどこ?」と聞くと、「あそこ!」と遠くを指差す。

その方角には、父は見えないが、土煙(つちけむり)がモウモウと立ち上がっているのが見える。

土地にはたくさんのモグラがいて、土を掘り起こすので、トラクターが通ると、その土煙があがるのだった。

土煙だけが移動しているのが見えるだけだ。

草刈が終わると、父はいつも「お地蔵さん」さながらに、土まみれ・・・。

私たち家族は、父の苦労はそっちのけで、その「お地蔵さん」の風貌に笑いをこらえることはできなかった。

また、そのトラクターがよく故障し、部品の注文をするも取り寄せに10日ほどかかる。

その内に、また草が伸び放題という悪循環!

温厚で忍耐のある父も、さすがに堪忍袋の緒が切れ、怒りが爆発!

「アメリカに草刈に来たんとちゃうわ!!!」とキレまくり。

かくして、私たち家族は、自分たちの生活スタイルにあった都会生活を真剣に考えるようになっていった・・・。