チャプレンのブログ・ALSなんか大嫌い

アメリカでチャプレンとして働いています

患者さんのその後


先日のブログで書いた患者さんのその後のことだが
もしや 気になっている方もおられるかもしれないので
続きを書いておきたいと思う

実は、あの後、様態が安定し一般病棟に戻されたが、
また心肺停止になって、ICUに入れられていたのだった
なんというローラー・コースターのような上がり下がり!

昨日、ICUの部屋を訪ねてみると
ベッドの横の椅子に座って、テレビを見ながら キャンディーを食べている姿が!

「わ~ 来てくれたの?」 「入って 入って~!」と招かれる
「元気そうに見えますけど、大丈夫ですか? 本当に心配しましたよ」と言うと

「蘇生処置を何度もやられたらしいから、心臓のところが痛いけど、なんとか」
「キャンディーいる?」なんて、彼らしいことを言う

「誘惑しないでくださいよ。私ダイエット中だから。」
「それにしても、何度もの死ぬ目に合って 大変でしたね。
今は どんな心境ですか?」

「うん~そうだね。 ハリケーンの目の中にいる感じかな・・・
自分の体や 回りの状況は 大嵐なんだけど 心の中は いたって平安。

たとえあの時死んでいたとしても、それはそれでよかったと思っていう。
でも、生かされたということは 感謝だよ。」

「なるほど~ あなたらしい言葉だわ」

「詩篇23編の あの言葉が本当に実体験でわかるよ。
『たとえ死の谷の影をあゆむとも、災いを恐れません。
あなたが(神)が共にいてくださるからです。』 神様は本当にすごい!」


こんな会話をして、一緒にお祈りをして 訪問を終えた

この患者さんの様態は まだいくらでも悪転する可能性が大で 安心できない
安定したところで、手術が受けられる状態には ほど遠いのだから・・・

健康面だけ考えれば、非常に厳しい状況にあることは間違いない

でも、死の淵に立たされているこの患者さんが、
自分を見失わずに、彼らしい発言や、行動をして 
なんだか 生き生きしているように見えるのは、
やはり、神を信じる信仰の影響なのだろうか (そうだと思う)

よく、励ます側の者が かえって励まされるということを聞くけれど、
チャプレンの仕事では、精神的なエネルギーが 奪われることの方が多い中、
この患者さんには、不思議と元気付けられている自分がいる